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2020年9月22日 (火)

「Fukushima 50」DVD発売決定!

 我が福島県民は必ず観たい映画だった。完成試写会および上映当日、東京から映画の出演者たちが県内各地の映画館を巡り、PRして回った。しかし、封切りと時を同じくして新型コロナウイルスにより、郡山市の映画館も休館を余儀なくされる事態となった。古関裕而の物語を描いたNHK連続テレビ小説「エール」と言い、この映画と言い、どうしてこうも福島県は不運が続くのだろうと天を恨んだ。
 本来ならばオリンピックイヤーだった今年、海外から多くの観戦客が訪れ、そして日本全国からドラマとこの映画に感動したファンが大勢、聖地巡礼とばかりにロケ地であるここ福島県に来て、震災から9年が経過した福島県の現状を目の当たりにしていただく予定だった。

 私は残念ながら劇場で、この映画を見られた訳ではない。やはり密を避ける意味で、郡山市が県内で群を抜いて感染者が多く発生したことを鑑みて、やはり狭い室内空間である「テアトル」には足が向かなかった。職場の至近にありながら、どうしても見たい映画だったにも関わらず、今夏、腹部を開腹する手術を受け、16日間も入院治療していた身からすれば、「コロナ感染=重症化」で、場合によっては呼吸器疾患や肺炎を併発し、死亡する可能性もあることから、無理は出来なかった。

 今でも「テアトル郡山」では期間を延長し、ロングランで上映を続けている。すぐそばで見られるのに見に行けないもどかしさ、そしてジレンマに耐えてきたが、ここにきて朗報が舞い降りた。

 それは9年前のあの日の出来事であり、「東京電力福島第一原子力発電所」の事故を実話に基づき忠実に再現した映画「Fukushima 50」が11月6日に待望のブルーレイ化&DVD化して発売されることになったのだ。

  事故の基となったのは言わずもがなであるが2011年(平成23年)3月11日、午後2時46分に発生した「東日本大震災」だった。誰も経験したことが無いマグニチュード9.0、震度7の巨大地震が遅い、初めて耳にした「大津波警報」発令で、避難が遅れた約2万人近くの方々が死亡、あるいは行方不明となった前例のない未曾有の大災害だった。その結果、どんな地震にも耐えて、100%安全だと言われて来た「原子力発電所」で津波によって「全電源喪失」(SBO)という前代未聞の非常事態が起き、原子炉を冷却不可という危機的状況に陥り、震災の翌12日に1号機が、その2日後の14日に3号機が2度に渡って発生した蒸気爆発により、原子炉建屋が吹っ飛び、原子炉格納容器内では人類史上初のメルトダウン(炉心溶融)が起きると言う大惨事となった。

Atomic-bomb
 唯一「FCT」が撮影に成功した水蒸気爆発の映像を見た時、きのこ雲が立ち上がったのを目の当たりにして、県民の誰もが「終わった」と死を覚悟した。当時、原発から50km東に離れた場所に勤務していた私は、もう駄目だと感じたし、どこに避難すべきか模索した。

Atomic-plant

 浜通りの原発から半径20kmに住む住民は、着の身着のままで緊急避難を強いられた。国道288号線に連なる長い車列、そこからまさかの長期に渡る避難所による生活、そして応急仮設住宅での生活を余儀なくされ、地域によっては埼玉県内の廃校で仮住まい生活を送ることになった。

Hinan2

 一方、原子力発電所内では、電源を喪失し、原子炉の燃料棒を冷却できなかったことで、原子炉は高熱に見舞われ、5機あるうちの稼働中だった4機が制御不能に陥った。その後、深刻度が最大の「レベル7」に引き上げられたことで、世界中が固唾をのんで状況を見守る中、現地の東電の社員たちが、日夜を問わず、必死の覚悟で事態の収束に当たった。この50人のことを「Fukushima 50」と呼んだのだった。所長の吉田氏を始め、そこに留まった原発社員たちは、福島県民を、いや日本国民を守るために福島原発内で、その対応に追われたのだった。いつ被爆して死んでもおかしくない状況の中、原子炉を冷却するために懸命に立ち向かい闘った社員たち。
 東京消防庁、海上保安庁、そして自衛隊が一丸となって放水作戦を展開した。内部で行われていた決死かつ捨て身の行動について、私たちは当時、何が起きていて、どういう作戦が実行されていたかまでは知らされておらず、テレビの前で状況を見守るしかできなかった。「何とか日本を救ってくれ」という一念だった。
 しかし、水蒸気爆発と思われていたあの爆発は、実際は多くの放射性物質が大気中にばら撒かれており、周辺地域は高濃度の放射能で汚染されていた。その日を境に私たち福島県民は「汚染地域」のレッテルを貼られ、差別を受けることになった。

Hinan

 今でもあちこちにリアルタイムで放射能レベルを測定できるモニタリングポストを目にすることが出来る。農作物、水産業は未だに震災前の状況には程遠い有り様で、おそらく廃炉作業も30年以上かかると見られている。汚染水の処理もままならず、敷地内に臨時で増設されたタンクはもう満杯となり、海に放水することが検討されている。

 私たちは、震災直後から収束宣言が発令されるまでの期間、今も懸命に廃炉作業は続いているが、当時、原子力発電所内でどんな戦いが繰り広げられていたのかを知らなければならないと思う。そして陣頭指揮にあたっていた吉田所長は、図らずも急性の胃がんによりこの世を去られた。劇中で言えば渡辺謙さんが演じた方だ。おそろくは、現場責任者として神経をすり減らし、事態の収束に当たっていた心労がたたっての発病に違いない。もしかすると線量を浴びて、それが原因でがんを発症してしまったのかもしれない。私たち福島県民からすれば命の恩人と言える人にあたる。足を向けて寝られないほどの、いわば「英雄」だ。

 今回、DVD発売決定を聞き、私もすぐに予約した。本編だけで2時間を超える122分。その中で描かれる大津波の脅威、そして全電源を失った時の所員たちの驚きと嘆き、さらには水蒸気爆発が起きた時の衝撃、福島原発で放水作業に当たった多くの方々の努力などがどんなふうに描かれているのか、今から楽しみだ。たぶん、何度も号泣すると思う。

 この映画をきっかけに日本中が原子力発電所の危険を再認識し、エネルギーの節約や他の発電方法への転換の契機となることを願う。ひと度でも事故が起きれば、人間にはその制御能力が不能となる「怪物」を人間自身が作り出してしまったことを、改めて自戒の念を持っていただければ幸いだ。

Dvd

Fukushima50_20200918212101

 キャスト

 佐藤浩市 渡辺謙  吉岡秀隆 緒形直人 火野正平 平田満 萩原聖人  吉岡里帆 斎藤工 富田靖子 佐野史郎 安田成美

 本編分数:本編122分/色:カラー/製作年:2020年/製作国:日本

 Blu-ray (DVD特典付き)が税込み7,370円      DVD通常版 税込み4,180円

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