日本記録と世界記録(陸上・競泳編)
昔、NTVで「びっくり日本新記録」というテレビ番組を放送していた。1975年から1985年までの約10年間続いた番組で、確か「おおのしげひさ」と「キャロライン洋子」がMCを務め、今でいう「ギネスに挑戦」の日本記録版だった。
もちろんそれは、パロディなので、その番組が勝ってに日本記録に認定しているだけで、公式な記録として残るわけではなかった。なのに、あくなき挑戦とばかりに、出場者たちは、一見くだらない競技を編み出しては、記録に載ることを目指してがむしゃらに挑戦していた。
例えば、人工的に作った傾斜をどれくらい短いタイムで駆け上がれるかを競ったり、平均台を上をバケツに入れた水を持って渡るとか、自転車大障害連続ぶち破り競技など、番組スタッフが独自に考案した面白おかしい競技ばかりだった。
そして、番組の最後に、今回のチャレンジの名場面をスローモーションで振り返り、「記録、それはいつもはかない・・。一つの記録は一瞬ののちに破られる運命を自ら持っている。それでも人々は記録に挑む。限りない可能性とロマンをいつも追い続ける。それが人間なのである。次の記録を作るのは、あなたかも知れない」というナレーションがなぜか感動的だった。
番組終了から35年も経過しているため、この話を共有できる方は、おそらくは50歳以上の方だろう。そんな番組が存在していたことすら知らない方がほとんどだと思う。
さて、記録にもいろいろあるが、今回テーマにしたいのは、2020年、本当であれば「東京オリンピック・パラリンピック」が行われていたであろう今年、もしかすると世界記録の誕生もあったかもしれない。
そこで、来年度に延期になったオリンピックに絡んで、今現在の「陸上」と「競泳」に限定して日本記録と世界記録を提示し、どれくらい世界との差があるかを検証したい。どれほど世界との差があるのか。あるいはどの程度まで縮まったのか。その辺に注目してご覧ください。
なお、記載はPC用に編集してあるため、スマホ画面では順序が乱雑になりますので、その場合は横向きにしてご覧ください。
「陸上競技」編
男子日本記録 男子世界記録
1 100m 9秒97 9秒58
サニブラウン ウサインボルト
2 200m 20秒03 19秒19
末續慎吾 ウサインボルト
3 400m 44秒78 43秒03
高野 進 ウエイドバンニーキルク
4 800m 1分45秒75 1分40秒91
川元 奨 デヴィッドルディシャ
5 1,500m 3分37秒42 3分26秒00
小林史和 ヒシャムエルゲージ
6 3,000m 7分40秒09 7分20秒67
大迫 傑 ダニエルコーメン
75,000m 13分08秒40 12分37秒35
大迫 傑 ケネニサベケレ
8 10,000m 27分29秒69 26分17秒53
村山紘太 ケネニサベケレ
9 マラソン 2時間5分29秒 2時間1分39秒
大迫 傑 エリウドキプチョゲ
10 110mH 13秒25 12秒80
高山峻野 アリエスメリット
11 100m×4リレー 37秒43 36秒84
多田白石桐生サニブラウン ジャマイカチーム
12 400m×4リレー 3分0秒76 2分54秒29
苅部伊東小坂大森 アメリカチーム
13 砲丸投げ 18.85m 23.12m
中村太地 ランディバーンズ
14 円盤投げ 62m16 74.08m
湯上剛輝 ユルゲンシュルト
15 やり投げ 87m60 98.48m
溝口和洋 ヤンゼレズニー
16 ハンマー投げ 84m86 86.74m
室伏広治 ユーリセディフ
17走り幅跳び 8m40 8.95m
城山正太郎 マイクパウエル
18三段跳び 17m15 18.29m
山下訓史 ジョナサンエドワーズ
19走り高跳び 2m35 2.45m
戸辺直人 ハビエルソトマルヨ
20棒高跳び 5m83 6.14m
澤野大地 セルゲイブブカ
女子日本記録 女子世界記録
1 100m 11秒21 10秒49
福島千里 フローレンスジョイナー
2 200m 22秒88 21秒34
福島千里 フローレンスジョイナー
3 400m 51秒75 47秒60
丹野麻美 マリタコッホ
4 800m 2分0秒45 1分53秒28
杉森美保 ヤルミラクラトフビロバ
5 1,500m 4分7秒86 3分50秒07
小林祐梨子 ゲンゼベティババ
6 3,000m 8分44秒40 8分06秒11
福士加代子 王軍霞
7 5,000m 14分53秒22 14分11秒15
福士加代子 ティルネシュデイババ
8 10,000m 30分48秒89 29分17秒45
渋井陽子 アルマズアヤナ
9 マラソン 2時間20分29秒 2時間14分04秒
一山麻緒 ブリジットコスゲイ
10 100mH 12秒97 12秒20
寺田明日香 ケンドラハリソン
11 100m×4リレー 43秒39 40秒82
北風高橋福島市川 アメリカチーム
12 400m×4リレー 3分28秒91 3分15秒17
青山市川千葉青木 旧ソ連チーム
13 砲丸投げ 18m22 22m63
森千夏 ナタリアリソフスカヤ
14 円盤投げ 59m03 76m80
郡菜々佳 ガブリエレラインシュ
15 やり投げ 66m00 72m28
北口榛花 バルボラシュポタコバ
16 ハンマー投げ 67m77 82m98
室伏由佳 アニタヴダルチク
17走り幅跳び 6m86 7m52
池田久美子 ガリナチスチャコワ
18三段跳び 14m04 15m50
花岡麻帆 イネッサクラベッツ
19走り高跳び 1m96 2m09
今井美希 ステフカコスタディノヴァ
20棒高跳び 4m40 5m06
我孫子智美 エレーナイシンバエバ
男子の陸上100mでは10秒を切った選手はサニブラウン、桐生、そして小池の3選手だけ。
世界の現役選手では、1位はアメリカのクリスチャンコールマン選手で、9秒76。
世界のトップ7にアメリカの選手が4人、カナダが2人、コートジボアールが1人という
具合で、ほとんどが黒人選手。やはり日本人選手と欧米やアフリカ諸国のアスリートでは
体力の差が歴然。それが陸上の世界のようだ。
「競泳(長水路)」男子日本記録 男子世界記録
1 50m自由形 21秒67 20秒91
塩浦慎理 セーザルシエロ
2 100m自由形 47秒87 46秒91
中村 克 セーザルシエロ
3 100m平泳ぎ 58秒78 56秒88
小関也朱篤 アダムピーティー
4 100mバタフライ 51秒00 49秒50
河本耕平 ケーレプドレッセル
5 100m背泳ぎ 52秒24 51秒85
入江陵介 ライアンマーフィー
6 200m自由形 1分45秒22 1分42秒00
松元克央 ポールビーダーマン
7 200m平泳ぎ 2分6秒67 2分06秒12
渡辺一平 アントンチュプコフ
8 200mバタフライ 1分52秒53 1分50秒73
瀬戸大也 クリストフミラーク
9 200m背泳ぎ 1分52秒51 1分51秒92
入江陵介 アーロンピアソル
10 400m自由形 3分43秒90 3分40秒07
萩野公介 ポールビーダーマン
11 800m自由形 7分49秒65 7分32秒12
松田丈志 張琳
121,500m自由形 14分54秒80 14分31秒02
山本耕平 張琳
13 200m個人メドレー 1分55秒07 1分54秒00
萩野公介 ライアンロクテ
14 400m個人メドレー 4分06秒05 4分03秒84
萩野公介 マイケルフェルプス
15 100m×4フリーリレー 3分12秒54 3分08秒24
中村塩浦松元溝畑 アメリカチーム
16 200m×4フリーリレー 7分02秒26 6分58秒55
内田奥村日原松田 アメリカチーム
17 100m×4メドレー 3分30秒03 3分27秒28
入江小関小堀塩浦 アメリカチーム
驚いたのは200mの背泳ぎとバタフライ。通常はスタート台から飛び込んでドルフィンキックを打てる「バタフライ」のほうがタイムが早いの
だが、男子を見ると入江の背泳ぎのほうが瀬戸大也のバタフライよりも早い。驚きの展開だ。
「競泳(長水路)」女子日本記録 女子世界記録
1 50m自由形 24秒21 23秒67
池江璃花子 サラショーストロム
2 100m自由形 52秒79 51秒71
池江璃花子 サラショーストロム
3 100m平泳ぎ 1分5秒88 1分04秒13
渡部香生子 リリーキング
4 100mバタフライ 56秒08 55秒48
池江璃花子 サラショーストロム
5 100m背泳ぎ 58秒70 57秒57
寺川 綾 レーガンスミス
6 200m自由形 1分54秒85 1分52秒98
池江璃花子 フェデリカペレグリニ
7 200m平泳ぎ 2分19秒65 2分19秒11
金藤理絵 リッケペターセン
8 200mバタフライ 2分4秒69 2分01秒81
星奈津美 劉子歌
9 200m背泳ぎ 2分7秒13 2分03秒35
中村礼子 レーガンスミス
10 400m自由形 4分5秒19 3分56秒46
柴田亜衣 ケイディレディッキー
11 800m自由形 8分23秒68 8分04秒79
山田沙知子 ケイディレディッキー
121,500m自由形 15分58秒55 15分20秒48
柴田亜衣 ケイディレディッキー
13 200m個人メドレー 2分7秒91 2分06秒12
大橋悠依 ホッスーカティンカ
14 400m個人メドレー 4分30秒82 4分26秒36
大橋悠依 ホッスーカティンカ
15 100m×4フリーリレー 3分36秒17 3分30秒05
大本青木佐藤白井 オーストラリアチーム
16 200m×4フリーリレー 7分48秒96 7分42秒08
五十嵐池江白井大橋 オーストラリアチーム
17 100m×4メドレー 3分54秒73 3分50秒40
井鈴木池江青木 アメリカチーム
さて、今日は日本記録と世界記録の差を示したくてこのような記事をしたためたが、2020年現在で、日本人が世界記録を保持している選手は皆無という実情を鑑みると、まだまだ世界との差は歴然だ。200m平泳ぎで高校生だった山口選手やその後、同種目で世界記録を更新した渡辺一平選手の記録もすぐに塗り替えられた。記録というのはいずれ破られる性質を持つのは常だが、それにしても呆気なかった。なかなか日本人が世界記録を破れないのは、単なる体力や体型の差なのか?それともそもそも素質の差なのか。あるいはメンタル面やトレーニング方法に違いがあるのだろうか?中国などは人口が多い分、選りすぐりのアスリートはわんさかいて、もっと記録を保持していてもよさげだ。しかし、同じアジア人種はやはり欧米には太刀打ちできないのか?陸上は黒人アスリートおよびアフリカやジャマイカ上位の傾向、そして水泳はアメリカ、オーストラリアの白人上位の傾向が顕著だ。もとから黒人アスリートは国際舞台で競泳に参加できなかった歴史的背景もあったが、あの筋肉量を考えれば、日本人は、同じトレーニングでは敵うはずもなく、よって、バレーボールで金メダルを獲得したように、他にはない独自の方法で金メダルを目指すしかないように思われる。
競泳では、日本女子のエースで、6種目で日本記録を保持する池江選手が病気によって戦線離脱し治療に専念したことも痛手だが、競技人口を増やし、早い段階から国ぐるみでその素質や特異な才能を伸ばす体制作りが何より必要だ。頭角を現してから注目するのではなく、ジュニアの段階から選抜し、欧米式のように集中トレーニングを行うことで強化を図るシステムの構築が必要かと思う。
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