人身売買?のプロ野球①
プロ野球がストーブリーグに入ると、各球団ともに来年の補強に乗り出す。日本人選手がポスティングMLBに移籍し、主力選手が抜けた穴を
埋めるように、こぞってメジャーや3A、あるいは韓国プロ野球で活躍した選手を引き抜く傾向が顕著になってきた。
今年は特に、ロッテ、ヤクルト、阪神が凄まじい勢いで救世主となるべき有力選手をかき集めている。3年連続で日本一に輝いているソフト
バンクですら、他球団の情勢に煽られるかのように、外国人枠を外れたヤクルトの大砲・バレンティンを獲得した。これ以上強くしてどうする
んだと思うが、これも巨人監督時代に苦杯を舐めた王SB終身GMの方針なのかもしれない。それほどホームランの魅力と威力に取りつかれている
ようだ。
一方、巨人と阪神は、かつての人気総どりとは裏腹で、FAでも敬遠されることが多くなった。巨人は層が厚いため、なかなか出場機会に恵ま
れず、実力があるのにファームなどで飼い殺し傾向が顕著なこと、阪神は選手育成が下手くそで、これまで何度も大型ルーキーをダメにしたか
知れない。よって、かつては人気がなく、スタジアムは閑古鳥が鳴いていたパ・リーグに有望選手が集まるようになった。また、北海道や仙台、
福岡などに本拠地を置くことで、地元密着の球団としての位置づけで、あの手この手のファンサービスも奏功して、球団経営もまずまずのよう
だ。
また、FA制度やポスティングシステムの活用で、これまでのように「在京セ・リーグ以外はプロに行かない」などの強硬論を唱える選手は影
を潜めた。どの球団でも活躍次第で、高額年俸を手に入れることが可能になったことも大きな要因だろう。
さて、前置きはこれくらいにして、NPB12球団のオフシーズンの動向を見ると、戦力が大幅に変わることが否定しようがない事実だ。では
どう主力選手が入れ替わったか、球団別に検証したい。
https://baseball.inzg.net/2019-20_leaving_player_list/
巨人
OUT= 山口峻 マシソン 阿部慎 クック アダメス ビヤヌエバ ゲレーロ (吉川光 宇佐美 和田)
IN = パーラ ビエイラ サンチェス
巨人の外人は眉唾。サンチェスは今年、韓国リーグで17勝5敗だが、マイコラスのようなエース級の活躍は難しいかもしれない。
それよりも実績のある菅野と田口の復活のほうが大事だ。先発の駒が、高橋、桜井、戸郷の若手では経験不足で不安がある。
そして個人的に、ゲレーロの退団は痛いと思っている。それに日本球界に慣れていないだけのビヤヌエバも放出し、攻撃力が激落ちする
のは必至。そして存在感があったベテラン阿部の引退は痛い。彼の代わりなど誰も務まらない。巨人は宝の持ち腐れで、いくら原監督の
用兵が秀逸していても、似たような選手を何人も抱え、適材適所に欠ける気がする。エースのMLB移籍で投手力ではかなりの戦力ダウンと
なることは否めない。
巨人ファンの私が贔屓目にみてもAクラスぎりぎりの3位、下手すると4位に転落する恐れがある。私は岡本は信用を置けない。アッパー
スイングがかなり気になるし、好不調の波が激しい。2年前のように3割を打たないと、ホームラン数も減ると思う。そして2年目の高橋
優投手も私は厳しいと踏んでいる。もう少し球種を増やさないと、二けた勝利など夢のまた夢だ。ローテーションをシーズン通して守り抜
くことは難しいと見ている。先発が崩れると勝利の方程式の中川、デラロサに繋げない。
広島
OUT= 菊池
IN = ジョンソン ピレラ スコット
育成上手な広島だが、中村奨成捕手の芽が出ないのがきつい。それにしても広島は去年の丸、新井、今年の菊池と2人の主力が抜け痛い。
明治大学の森下は即戦力。良い補強ができた。ジョンソン、野村、大瀬良、床田、九里など計算できる選手がいる。中崎も健在。来季も
投手王国なので、得点力アップが課題。鈴木誠を軸に、松山、西川に加え、新外人がどれだけ貢献できるか。小園もそろそろ頭角を現す
だろう。
来季は野村もFA移籍があるかもしれない。監督が佐々岡に代わってどうなるのか・・・。
阪神
OUT= メッセンジャー ジョンソン ドリス 鳥谷
IN = ジャスティンボーア ガンケル ジェリーサンズ エドワーズ
藤浪の復活がなかなか難しく、エース級の活躍をしてきたメッセンジャー、重要な中継ぎだったドリスが退団したことは相当な痛手。
加えて福留、糸井の両ベテランに頼るのは酷で、打力は低迷。そのテコ入れで強力助っ人を相次ぎ入団させが、打者は当たりはずれが
大きく、日本の野球に順応できるかがカギ。サンズがかつてのバースのように獅子奮迅の活躍ができれば優勝のチャンスもある。
阪神は得点力は期待できるため、先発投手陣の整備が急務だ。計算できるのは西と青柳くらいしかいない。抑えの藤川は盤石だが最後
の松坂世代なので、昨季のようなフル回転が利くかどうか。
DeNA
OUT = ソリス 筒香
IN = マイケル ピープルズ オースティン
主砲が抜けた穴は大きいが、ソト、ロペスの打の両輪がしっかりしている。加えてオースティン内野手を獲得し、破壊力、得点力は
セ・リーグ随一。
NeNAは投手力が安定している。エース今永に加えてマイケルとピープルズを獲得。中継ぎに剛球投手のエスコバーが健在 抑えは
盤石の山﨑。先発のコマ不足を新外人が補い、上茶谷や濱口、大貫がローテーションとして機能すれば勝ち星は計算できる。
戦力的にはバランスがとれているし、ラミレス監督の手腕も冴えおり、手ごわい存在になることは間違いない。
中日
OUT = ロドリゲス 松坂 モヤ 松井
IN = ゴンザレス シエラ
中日は外国人が潤沢 ビシエド、ロメロ、アルモンテ、マルティネスなどに加え、2人を獲得。助っ人依存傾向があるが、一度に使える
のは3人までなので、誰をどう1軍で使うか与田監督の手腕が見もの。
打力の底上げが課題。根尾や石川など甲子園人気スターコンビは数年後のレギュラー定着は間違いないので大事に育ててほしい。
ヤクルト
OUT = 館山 寺原 畠山 村中 ブキャナン 大引 バレンティン 秋吉
IN = エスコバー 嶋 長谷川 今野 イノーア クック
ストーブリーグで最も賑わせたのがヤクルト。投手のテコ入れのため、外国人投手を4人獲得した。外人選手枠の中でどう併用するのか。
山田、青木、村上、雄平など打線は活発だが、33発93打点のバレンティンの抜けた穴をどう補うか。内野手のエスコバーは未知数。
奥川は1年目での活躍を期待するのは酷だし、40歳を迎えた石川やベテランの五十嵐を多用するのも難しい。小川の復活は絶対条件。
私は球団OBで経験豊富な高津新監督の手腕に期待したい。野村野球を直に体験した彼がどんな野球を実践するか楽しみだ。投手力次第で
は優勝争いに絡めると思っている。
私の予想順位
1位 DeNA
2位 阪神
3位 ヤクルト
4位 巨人
5位 広島
6位 中日
さて、本日はセ・リーグの戦力を分析し、最後は来季の順位まで予想したが、長いシーズンは怪我や故障、好不調の波がつきもので、
その都度代わりの選手が台頭して活躍できるかがペナントの行方を握っていると思う。そうなると選手層が厚いチームが有利になる。
前年度の成績が良くても、同等かそれ以上の活躍ができるとは限らないし、どこにもその保障はない。
ヤクルトがどれだけ大化けするか楽しみだし、阪神は新外国人の活躍次第。一方、巨人は阿部、山口、マシソンの抜けた穴が大きすぎ。
やはり投手と打線のバランスが良いDeNAが優勝するとみている。
いずれにしても新戦力がめまぐるしく入れ替わる昨今のプロ野球事情。FAやトレード、補強などでまるで人身売買のように大幅に入れ替わる
選手事情の中で、早くチームに溶け込み、あるいはそのリーグや日本のプロ野球に慣れて適応できるかは、ふたを開けてみないとわからない
部分だ。大化けすることもあるし、首位打者やホームラン王争いに絡む選手も出てくる。とりわけ春先は外国人の打者がホームランを連発して
期待を抱かせるが、夏バテや秋口まで調子が持続しない場合も多々ある。監督がうまく選手を起用するかもまたプロ野球観戦の醍醐味だ。
明日はパ・リーグについて検証したい。
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