多様化するNPBユニフォーム
長年、日本のプロ野球を愛し、見続けてきた私だが、最近わからないことが多くなった。以下のような毎年のように変わるルールもそのひとつだ。
クライマックス制の導入、ハーフスイングの判定、ボークの判定、ストライクボールの表現(ワンボールツーストライク)、ホームベース上でのクロスプレー、そして審判の誤審を防ぐ名目で始まったリクエスト制度。
昔の「勝利打点」は姿を消し、週間MVPなどもあまり聞かなくなった。私の少年時代とは様変わりしすぎだ。
そして、最近激変したのは、プロ野球球団の戦闘服である「ユニホーム」だ。パッと見、どこのチームか判断できない。昔なら、チームカラーが決まっていて、歴史と伝統を感じさせるような重みがそれ自体に備わっていた。しかし、決して軽視しているわけではないだろうが、カラフルになりすぎて、奇を衒っているような印象しかない。中には交流戦仕様とか、メモリアル試合などの期間限定ユニホームまであるらしい。
では実際に、往年のユニホームと最近のチームのものを比較したい。同一チームとは思えないほどの変わりようだ。
1 巨人(読売ジャイアンツ)
ホーム用 ビジター用 最近着用
巨人のユニホームは伝統と格式を重んじている。昔ながらの、言葉は悪いが古臭い印象がある。ヤンキースのユニホームを基調としている印象すらある。胸のマークはホームが「GIANTS」でビジターは用は「TOKYO」だ。
2 阪神タイガース
ホーム用 ビジター用 最近着用
阪神と言えば白の縦じまイメージ。かつて吉田監督が清原獲得を目指し、「縦じまを横じまに変えるくらいの覚悟で」と発言したが、ファンはそれを許さなかっただろう。
ホーム用は「Tigers」、ビジター用は「HANSHIN」。近年はバラエティでイメージが壊れてしまう。真っ黒仕様もある。
真弓、バース、掛布、岡田、平田、若菜を擁した1985年の日本一が印象にあると思うが、私個人では、藤田平、山本和行、江夏、古沢、田淵ら往年のタイガースが目に焼きついて離れない。
3 広島東洋カープ
ホーム用 ビジター用 最近着用
広島といえば「赤ヘル」。ゆえにユニホームも赤のライン。私は古葉監督が山本浩や衣笠、水沼らを率いて旋風を巻き起こした昭和50年と昭和55年の江夏の21球が懐かしい世代なので、あのカラーイメージが濃く残っている。ホーム用は「CARP」、ビジターは「Hiroshima」。池谷、北別府、山根、福士など名投手が多くいた。
個人的に「弱きは最大の敵」という名句を遺した炎のストッパー津田恒実を尊敬しているので、昔のユニホームが脳裏に焼きついている。
4 中日ドラゴンズ
ホーム用 ビジター用 最近着用
中日は青のラインのイメージが強い。アルファベットのCとDを重ね合わせたロゴの帽子も水色に近い青色だった。大の巨人ファンだった私だが、後楽園球場で巨人の帽子が売り切れで、親が買った中日の帽子をなぜか被らされていた。ホーム用は筆記体字で「Dragons」、ビジターが「CHUNICHI」。星野、三沢、鈴木孝政、矢沢、高木、大島、宇野、木俣、田尾、中尾などの名選手を思い出さずにはいられない。
5 東京ヤクルトスワローズ
ホーム用 ビジター用 最近着用
ヤクルトのイメージも縦じまだ。かつて松岡弘や安田猛の左右両エースに加え、若松や船田、杉浦、水谷、角らが活躍していた。その後、広沢、池山、飯田、古田などを率いた野村監督がID野球を駆使して黄金期を築いたのはまだ記憶に新しい。ホーム用は「Swallows」、ビジターが「Yakrut」。
6 横浜DeNAベイスターズ
ホーム用 ビジター用 最近着用
高木、進藤、鈴木尚、駒田、齋藤、佐々木などがいた最強打線のイメージが強い。ホーム用は筆記体で「Baystars」で、ホーム用が「YOKOHAMA」。
1 福岡ソフトバンクホークス
ホーム用 ビジター用 最近着用
黒と黄色の軍団という印象。独特な色合いを基調としている。ホームは「SoftBank HAWKS」で、黒いビジター用は「SOFTBANK」だ。
西武の黄金期を築いた名選手がごっそりダイエーに移籍した印象は否めない。工藤、秋山、石毛らは根本信者だった。
2 埼玉西武ライオンズ
ホーム用 ビジター用 最近着用
レオ軍団は黄緑と水色の独特なライン、そしてかつての西武はビジター用が全身、スカイブルーで、かなり違和感があった。胸のロゴはホームが筆記体で「Lions」、ビジター用が「SEIBU」だったが、今は「Saitama」とある。
広岡監督が礎を築き、森監督が黄金期を築いた。太田卓、田淵、山崎、テリー、スティーブらを擁した盤石のオーダーだった。東尾、松沼兄弟など投手も盤石だった。
また、森黄金期には、石毛、秋山、清原、デストラーデ、辻、伊東、平野、投手も工藤、渡辺久の両エース、郭、潮崎、森、渡辺智、石井丈などゆるぎない戦力を有していた。
3 オリックスバファローズ
ホーム用 ビジター用 最近着用
ホーム用のロゴが紺色に黄色い縁取りで「Buffaloes」が浮きだっている。紺色のビジター用は黄色い縁取りの「ORIX」とシンプル。
4 東北楽天ゴールデンイーグルス
ホーム用 ビジター用 最近着用
チームカラーが臙脂(レンガ色)は衝撃的だった。ホーム用は「RAKUTEN EAGLES」の二段文字。ビジターはRakuten」もあるし「TOHOKU」バージョンもある。
5 北海道日本ハムファイターズ
ホーム用 ビジター用 最近着用
このチームはちょくちょくデザイン変更を行う。白に片側だけが青で肩口に黒でワッペン。ビジター用は斬新で黄土色。そして両肩が黒の色使い。ホームは「FIGHTERS」、ビジターは「NIPPONHAM」のロゴ。12球団一派手だと思う。
6 千葉ロッテマリーンズ
ホーム用 ビジター用 最近着用
ここもしょっちゅうユニホームが変わる。メインのホーム用は縦じまでヤンキースを意識しているようなデザイン。左胸にMの文字。そしてビジター用は、ネイビー系に白抜きでフラッシュピンクの縁取りを施して「Marines」
一見すると、とても日本のチームらしくないケバケバしい印象を与えるものもあるし、韓国や台湾プロ野球のそれと見間違えそうなカラーのものもある。
最後に、私が少年時代に存在していた球団のユニホームを紹介したい。今でもこのユニホームがその球団のイメージとなっている。
「かつて存在した球団のユニホームのイメージ」
南海ホークス(黄緑)
南海はソフトバンクの前身になるが、大阪のファンはそう思いたくない。水嶋新司さんの漫画「あぶさん」のイメージの通り、このチームの本拠地はあくまで大阪。野村捕手やスタンカ、門田のイメージがあまりにも強い。
近鉄バファローズ(赤と青)
「九条徒然日記」さんのブログより拝借いたしました。
私が大好きだったチーム。このチームの優勝は毎回ドラマチックで逆転が多かったため、「ミラクル近鉄」と言われた。西本幸雄監督、赤鬼マニエル、平野泰、栗橋、羽田、石渡の梨田、有田の時代は「江夏の21球」に屈し、その後も大石、阿波野、野茂、吉井などの名選手を輩出したが、悲願の日本一を果たせないままオリックスと楽天に分譲された形。
オリックスブルーウェイブ
仰木監督率いた黄金時代。平井やイチロー、田口、ニールなどがいて、最強チームだった。阪神淡路大震災の頃、被災者を勇気付けた。腕章で「がんばろう神戸」というロゴが印象的だった。
阪急ブレーブス(赤)
西本監督と上田監督による鉄拳で強くなった。福本、蓑田、島谷、マルカーノ、ウィリアムズ、長池、加藤英司、山田、足立、山口などの名選手がわんさかいて、昭和50年代前半は無敵の強さを誇った。
大洋ホエールズ(オレンジ・緑/青紫)
シピン、ボイヤー、松原、中塚、平松に始まり、田代、遠藤一彦、ヒゲの齋藤、福嶋などの名選手が大勢いた。青紫と緑のユニホームが印象的だ。
福岡ダイエーホークス(黄色)
王監督時代は苦労した。なかなか結果が出ずにファンも暴徒化した。松中、小久保、秋山らスター選手が多く移籍した。
太平洋クラブライオンズ
基満男、竹之内、東尾、加藤初、土井正博、永射らがかつて所属していた。西鉄の後継、西武の前身。
クラウンライターライオンズ
太平洋が身売りしてクラウンライターになった。阪神に移籍した真弓や若菜が所属していた。デービスや広瀬、立花、土井正、ハンセン、竹之内、山村、東尾などの名選手を揃えていた。後の西武だけに、選手がそのまま西武に移行した印象。
しかし、毎年毎年、こんなにもユニホームの色やデザインが変わったのでは、それまで築き上げてきた伝統や格式といったものが除外されてしまう危惧を覚える。往年の姿は、その服装で示されるし、オールドファンにはそのユニホーム姿の選手たちが焼きついているに相違あるまい。一見してあのチームはどこだ?とNPBのチームを見て疑問に思えないようにしてもらいたいものだ。
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